三間飛車党の研究

コーヤン流の捌きに憧れつつ真部流をこよなく愛する筆者による三間飛車の研究。時たま将棋界ニュース。

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中田功-渡辺明戦(順位戦C級1組2005年7月12日)

2局目はこれまた古い順位戦棋譜

もう10年以上前の棋譜だが、定跡の変遷として大事なところなのでチェックしておきたい。

(初手から)

先手:中田 功
後手:渡辺 明

 

▲7六歩  △3四歩  ▲6六歩  △8四歩  ▲7八飛  △8五歩  
▲7七角  △6二銀  ▲6八銀  △4二玉  ▲4八玉  △3二玉  
▲5六歩  △3三角  ▲5八金左 △2二玉  ▲3八銀  △1二香  
▲3九玉  △1一玉  ▲4六歩  △2二銀  ▲3六歩  △5四歩  
▲1六歩  △4二角  (第1図)

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いきなり長い手数進めて恐縮だが、ここまでの手順はここでは重要ではない。

このころから流行だした早目に4二角と引いて堅さより、先手の動きをけん制する指し方だ。

(第1図から)

 

▲5七銀  △7四歩  ▲6五歩  △7三桂(第2図)f:id:fx-tsuginoitte:20160223021908j:plain

飛車先の歩交換を見せて先手に▲6五歩あるいは▲8八飛のような手を強要する。そしてさらに△7三桂で6五の両取りを見せ、▲6八飛を強要する。この指し方の出現によって先手の駒組みに制約が増えてしまった。

(第2図以下)

 


▲6八飛  △5三銀  ▲4五歩  △3二金  ▲4七金  △5一金  
▲3七桂  △4一金  ▲1五歩(第3図)

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先手は▲3九玉型のまま端に狙いをつけて中田功XPの形には組めたが、後手も3二金と3一金、4一金となっておらず、玉頭に手厚いのがぬかりない。早速後手から仕掛ける。

 

(第3図以下)

△8六歩  ▲同 歩  △6四歩  ▲同 歩  △同 銀(第4図)

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6筋で動かれてみると既に6筋は支配され、7筋の角頭も危ない。現状は6五桂も見えている。先手としてはほぼ端一本の作戦なので端から動くが。

(第4図から)

 

▲1四歩  △同 歩  ▲1三歩  △同 香  ▲2五桂  △6五桂(第5図)

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端にいったものはいいもののまともに両取りを食らってしまった。後の展開を見ていただくとわかるが、これによって角が転回できよくなることもあるが・・・。

(第5図より)

 

▲6六角  △8六飛  ▲7七桂  △5七桂不成  ▲同 角(第6図)f:id:fx-tsuginoitte:20160223022812j:plain  

先ほど述べた通り、角の転回は成功し、端に狙いをつけたが、いかんせん戦力不足だ。

(第6図より)

△8九飛成 ▲2六桂  △6七歩  ▲同 飛  △5八銀 (第7図)

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△6七歩からの△58銀打が激痛である。これは▲3九玉型が祟っている。

(第7図より)

▲1四桂  △同 香  ▲同 香  △1三歩  ▲6八飛  △4七銀成 
▲同 銀  △2四角  
 まで、68手で後手勝ち(第8図=投了図)

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最後は角まで活用され、以下▲2四角△同歩の局面で△5七角の狙いが残るのがあまりにも大きい。また、最初で述べた通り△3二金と上がっているのも大きなポイントで、これがなければ△2四角とぶつける筋は少々無理筋だ。本譜のように穴熊に囲い切る前に三間飛車の動きをけん制する指し方は猛威を振るい、現在でも主流の指し方だ。最近の順位戦でもコーヤンが色々と趣向を凝らしており、先手番ではわりとどうにかなっている状況のようなので後々紹介したい。